看護師の人間関係の悩みが、パワーハラスメントに当たるかを分ける
法律は、パワーハラスメントの防止を事業主に求めています。対象は、職場での優越的な関係を背景とした言動のうち、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものです。それによって働く環境が害されることを防ぎます。
業務上必要で相当な範囲の指導は、これに当たりません。労働施策総合推進法 第30条の2第1項 ↗
厚生労働省の指針は、代表的な言動を次の6つの類型に分けています。
| 類型 | 指針の説明 |
|---|---|
| 身体的な攻撃 | 暴行・傷害 |
| 精神的な攻撃 | 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言 |
| 人間関係からの切り離し | 隔離・仲間外し・無視 |
| 過大な要求 | 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害 |
| 過小な要求 | 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと |
| 個の侵害 | 私的なことに過度に立ち入ること |
表の出典厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001595731.pdf(取得日 2026-09-29)指針 2(5)代表的な言動の類型 ↗
当たるかどうかは、状況によって判断されます。この表は、悩みを整理するための目安です。
看護師の人間関係の悩みに、職場が取ることになっている措置
事業主は、パワーハラスメントについて、相談に応じて適切に対応するための体制を整えることが義務づけられています。相談したことや、相談への対応に協力して事実を話したことを理由に、解雇などの不利益な取扱いをしてはならないとされています。労働施策総合推進法 第30条の2 ↗
性的な言動(セクシュアルハラスメント)についても、事業主は同じように相談の体制を整えることが義務づけられています。男女雇用機会均等法 第11条 ↗
勤め先の相談窓口がどこにあるかは、就業規則や職場の案内で確かめられます。
看護師の人間関係の悩みを記録する票
| 日時 | 場所・場面 | 相手(立場) | 言われたこと・されたこと | その場にいた人 | その後の影響 | 相談した先と日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|
照合票・質問例は編集部が作成したものです。職場の実態を示す統計や、条件がかなうことの保証ではありません。未確認の欄をゼロや「なし」で埋めず、回答者・確認日・書面名を残してください。
記録は、自分の言葉で、あったことをそのまま書きます。相手の人柄の評価や推測は分けて書くと、相談のときに伝わりやすくなります。患者の名前など、業務で知った秘密は書かないでください。
自分の条件を書き込むときに
この照合票を保存する(表計算用TSV) ↓表計算ソフトで開き、確認結果・未確認の点・回答者と確認日を記入できます。空欄は未確認のまま残してください。患者情報は記入しないでください。
看護師の人間関係と、患者・家族からの迷惑行為(カスタマーハラスメント)
患者や家族など、顧客等からの著しい迷惑行為への対策は、日付で扱いが変わります。
- 2026年9月30日まで:パワーハラスメントの指針で、相談の体制を整えることや、一人で対応させないなどの配慮が「望ましい取組」とされていました。
- 2026年10月1日から:改正された労働施策総合推進法(令和7年法律第63号、2025年6月11日公布)により、カスタマーハラスメントを防ぐ措置が事業主の義務です。
パワーハラスメント指針 7 ↗厚生労働省 ハラスメント対策のページ(公布日・施行日) ↗
2026年10月1日からは、カスタマーハラスメントの指針(令和8年厚生労働省告示第51号)が使われます。事業主が講じなければならない措置は、次のとおりです。
- 対処の方針を決め、働く人に知らせる(一人で対応させないなど、あらかじめ決めた対処の内容を含む)
- 相談窓口を決め、担当者が適切に対応できるようにする
- 起きたあとに事実を迅速に確かめ、被害を受けた人に配慮し、再発を防ぐ
- 特に悪質なものへの対処の方針を決め、対処できる体制を整える
- 相談した人のプライバシーを守り、相談を理由に不利益に扱わないと決めて知らせる
カスタマーハラスメント防止指針 4 ↗厚生労働省リーフレット(詳細版)2頁 ↗
顧客等からの苦情のすべてが当たるわけではありません。言動が社会通念上許容される範囲を超え、働く環境が害されるものが対象です。
リーフレットは、顧客等の例に病院などの施設の利用者と、その家族を挙げています。看護師にとっては、患者や家族からの言動が当たる場合があります。同 1頁 ↗
義務になった措置の中身と運用は、職場ごとに違います。自分の職場の方針と相談窓口を確かめましょう。
看護師の人間関係の悩みの相談先
- 職場の相談窓口:事業主が整えることになっている窓口です。
- 総合労働相談コーナー:職場の労働の問題を相談できます。
- 都道府県ナースセンター:職場を変えることを含めて、就業の相談ができます。
総合労働相談コーナーのご案内 ↗看護師等の人材確保の促進に関する法律 第15条第6号 ↗
職場を変えることを考えている場合は、辞めたいときの記事で手続きを整理しています。職場の雰囲気や人間関係を応募前に確かめる方法は、転職エージェントの比較の相談先に聞くこともできます。この記事は、心身の不調への対処を助言するものではありません。
出典とファクトチェック
- e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- EGOV-SUISHIN-LAW
- 表・項目
- 第30条の2(雇用管理上の措置等)、第30条の3(国、事業主及び労働者の責務)
- 対象
- 法令の適用対象
- 対象時点・期間
- 2026-09-29 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
- 公表日
- 1966-07-21
- 取得日
- 2026-09-29
- 確認版
- 昭和41年法律第132号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
- 読み方・制約
- 条文の読み方を示すもので、個別の事情に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
- 厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- MHLW-PAWAHARA-SHISHIN
- 表・項目
- 2(5)職場におけるパワーハラスメントの代表的な言動の類型(イ〜ヘ)、7 他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組の内容
- 対象
- 事業主と、その雇用する労働者
- 対象時点・期間
- 2026-09-29 に厚生労働省のサイトで取得した版
- 公表日
- 2020-01-15
- 取得日
- 2026-09-29
- 確認版
- 令和2年厚生労働省告示第5号(告示は2020-01-15。取得した PDF の版)
- 読み方・制約
- 指針で、個別の言動が該当するかは状況による。7 の顧客等からの迷惑行為への取組は「望ましい」とされる取組で、義務ではない。
- 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- MHLW-HARASSMENT-INDEX
- 表・項目
- 「カスタマーハラスメント及び求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が事業主の義務となります!」の欄(令和7年法律第63号の公布日、施行日、指針の公布日)
- 対象
- 事業主
- 対象時点・期間
- 令和7年改正(令和8年10月1日施行)
- 公表日
- 公式に記載なし(取得日とは別)
- 取得日
- 2026-09-30
- 確認版
- 2026-09-30 に確認した掲載
- 読み方・制約
- ページに更新日の表示なし。
- 厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和8年厚生労働省告示第51号)」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- MHLW-KASUHARA-SHISHIN-2026
- 表・項目
- 1 はじめに(法第33条第1項〜第3項)、2 職場におけるカスタマーハラスメントの内容、4 事業主が雇用管理上講ずべき措置の内容
- 対象
- 事業主(法第33条)
- 対象時点・期間
- 令和8年10月1日施行の改正法に基づく指針
- 公表日
- 2026-02-26
- 取得日
- 2026-09-30
- 確認版
- 令和8年厚生労働省告示第51号
- 読み方・制約
- 公表日は厚生労働省のハラスメント対策のページの記載(令和8年2月26日公布)。指針の本文に施行日の記載はない(施行日は MHLW-HARASSMENT-INDEX)。
- 厚生労働省「リーフレット(詳細版)「2026年(令和8年)10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!」」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- MHLW-KASUHARA-LEAFLET
- 表・項目
- 1頁 カスタマーハラスメントの定義と顧客等の例(施設の利用者とその家族を含む)、2頁 カスタマーハラスメントの防止のために講ずべき措置(義務)①〜⑩、3頁 望ましい取組
- 対象
- 事業主
- 対象時点・期間
- 令和8年10月1日施行
- 公表日
- 公式に記載なし(取得日とは別)
- 取得日
- 2026-09-30
- 確認版
- 詳細版リーフレット(2026-09-30 に掲載を確認)
- 読み方・制約
- 公表日の記載なし(掲載ページに「New」の表示のみ)。取得日で代用しない。文言は要約し、転載しない。
- e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- EGOV-KINTOU-LAW
- 表・項目
- 第11条(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
- 対象
- 法令の適用対象
- 対象時点・期間
- 2026-09-29 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
- 公表日
- 1972-07-01
- 取得日
- 2026-09-29
- 確認版
- 昭和47年法律第113号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
- 読み方・制約
- 条文の読み方を示すもので、個別の事情に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- MHLW-LABOUR-CONSULT
- 表・項目
- 相談範囲、担当部署への取次ぎ
- 対象
- 労働者・事業主等
- 対象時点・期間
- 取得時点の案内
- 公表日
- 公式に記載なし(取得日とは別)
- 取得日
- 2026-09-27
- 確認版
- 取得時点の案内
- 読み方・制約
- 総合相談の受付と、違反疑いを扱う担当部署の権限を区別する。
- 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「看護師等の人材確保の促進に関する法律」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- EGOV-JINKAKU-LAW
- 表・項目
- 第14条(都道府県センターの指定)、第15条(業務)、第16条の3(看護師等の届出等)、第15条第5号・第6号(無料の職業紹介、就業の促進に関する情報の提供・相談)、第5条(病院等の開設者等の責務)
- 対象
- 法令の適用対象(看護師等・病院等の開設者等・都道府県センター)
- 対象時点・期間
- 2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
- 公表日
- 1992-06-26
- 取得日
- 2026-09-28
- 確認版
- 平成4年法律第86号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
- 読み方・制約
- 条文の読み方を示すもので、個人の状況を判定しない。届出は努力義務。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
変更記録:2026-09-29 初稿作成(第5回)。ハラスメントの防止の措置は労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法の条文と、厚生労働省のパワーハラスメントの指針(令和2年厚生労働省告示第5号)で確認。記録票は編集部作成。心身の不調への対処は扱っていません。2026-09-29、題名と冒頭(答え・この記事で分かること)を整理し、本文を読みやすくした(長い段落と文を分け、数字の一部を表に、確認票を記事の中ほどへ)。数字・出典の変更なし。2026-09-30、監査に対応:F04 患者・家族からの迷惑行為の節を、2026年9月30日までの「望ましい取組」と、10月1日からのカスタマーハラスメント対策の義務に分けて記載。
