看護師の副業は、就業規則でどう決まるか

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、労働時間以外の時間の使い方は基本的に労働者の自由だとしています。そのうえで、裁判例を踏まえれば、企業は原則として副業・兼業を認める方向とすることが適当としています。3 企業の対応(1)基本的な考え方 ↗

一方で、裁判例で副業を禁止・制限できるとされてきたのは、次のような場合です。

  • 仕事(労務の提供)に支障がある場合
  • 業務上の秘密が漏れる場合
  • 競業により勤め先の利益が害される場合
  • 勤め先の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を壊す行為がある場合

ガイドラインは、副業について相談したり申告したりしたことを理由に、不利益な取扱いをすることはできないとしています。勤め先の就業規則で、副業が届出制か許可制か、何を出せばよいかを確かめましょう。(2)オ 副業・兼業の禁止又は制限 ↗

看護師が公務員なら、副業には許可が必要

地方公務員は、任命権者の許可を受けなければ、次のことができません。営利企業の役員などを兼ねること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得て事業や事務に従事することです。ただし、非常勤の職員(短時間勤務の職員とフルタイムの会計年度任用職員を除く)は、この制限の対象外です。地方公務員法 第38条 ↗

国家公務員は、自ら営利企業を営むことなどが禁止されています。報酬を得てほかの事業に従事するには、内閣総理大臣と所轄庁の長の許可が必要です。国家公務員法 第103条・第104条 ↗

病院の運営主体によって、職員が公務員かどうかは違います。見分け方は公務員の看護師の記事で説明しています。

看護師の副業を始める前の確認票

看護師の副業を始める前の確認票
確かめる項目確かめた内容確認した日と相手
勤め先の就業規則(届出制・許可制・禁止の場合)
勤め先が公務員の職場か(許可が必要か)
副業の働き方(雇用か、業務委託か)
本業のシフト(夜勤・残業)と副業の時間の重なり
1週間の労働時間の合計と、休みの日
副業先が単発の派遣の場合、働く場所と条件
業務上の秘密・競業に当たらないか

照合票・質問例は編集部が作成したものです。職場の実態を示す統計や、条件がかなうことの保証ではありません。未確認の欄をゼロや「なし」で埋めず、回答者・確認日・書面名を残してください。

自分の条件を書き込むときに

この照合票を保存する(表計算用TSV) ↓

表計算ソフトで開き、確認結果・未確認の点・回答者と確認日を記入できます。空欄は未確認のまま残してください。患者情報は記入しないでください。

看護師の副業と、本業の労働時間の通算

労働基準法は、労働時間は事業場が違っても、労働時間の規定の適用については通算するとしています。ガイドラインでは、雇われて副業をする場合、自分の勤め先と副業先の労働時間が通算されると説明しています。フリーランスや起業など、労働基準法が適用されない働き方では通算されません。労働基準法 第38条第1項 ↗(3)労働時間管理 ↗

夜勤のある看護師が副業を入れると、本業の夜勤・残業と副業の時間が重なって、休む時間が短くなりがちです。ガイドラインは、副業をする労働者を使うすべての使用者が安全への配慮の義務を負うとしています。本業のシフトと副業の予定を並べて、週の労働時間と休みの日を確かめてから始めましょう。厚生労働省:副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月8日改定版) ↗

看護師の副業で、単発の派遣を使うときの条件

30日以内の単発の派遣(日雇派遣)は、原則として禁止されています。単発の派遣で副業をするときは、働く場所と人の条件を分けて確かめます。

  • 働く場所:病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院・居宅などでの看護業務は、派遣が原則禁止です。下の人の条件に当たっても変わりません。
  • 日雇派遣:それ以外の場所での看護業務は、日雇派遣が認められる業務です。
  • 人の条件:ほかの業務では、60歳以上、学生、副業として働き本人の1年分の収入が500万円以上、世帯の1年分の収入の合計が500万円以上で主たる生計者でない、などの場合に限って認められます。

労働者派遣法 第35条の4 ↗同法施行令 第2条・第4条 ↗同法施行規則 第28条の3 ↗厚生労働省 改正労働者派遣法の説明 ↗

どの場所なら派遣で働けるかは、派遣の記事で整理しています。

出典とファクトチェック

  • 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月8日改定版)」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    MHLW-FUKUGYO-GUIDELINE
    表・項目
    3 企業の対応(1)基本的な考え方、(2)労働契約・就業規則(オ 副業・兼業の禁止又は制限)、(3)労働時間管理(ア 労働時間の通算が必要となる場合)
    対象
    副業・兼業を行う労働者と、その使用者
    対象時点・期間
    2022-07-08 改定版(2026-09-28 時点の厚生労働省のページで最新)
    公表日
    2022-07-08
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    令和4年7月8日改定版
    読み方・制約
    行政の指針で、法律ではない。個々の職場で副業が認められるかは、就業規則と労働契約による。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働基準法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-ROUKI-LAW
    表・項目
    第37条第4項(深夜の割増賃金)、第66条第3項(妊産婦の深夜業)、第22条(退職時等の証明)・第39条(年次有給休暇)・第89条(就業規則の作成及び届出の義務)、第24条(賃金の支払)、第38条(時間計算)、第27条(出来高払制の保障給)、第32条(労働時間)・第36条(時間外及び休日の労働)・第37条第1項(時間外・休日の割増賃金)
    対象
    法令の適用対象(事業主・労働者)
    対象時点・期間
    2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1947-04-07
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    昭和22年法律第49号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の職場・個人に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
  • e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「地方公務員法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-CHIKOU-LAW
    表・項目
    第17条の2(採用の方法)、第24条(給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準)、第38条(営利企業への従事等の制限)
    対象
    法令の適用対象
    対象時点・期間
    2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1950-12-13
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    昭和25年法律第261号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の事情に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
  • e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「国家公務員法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-KOKKO-LAW
    表・項目
    第103条(私企業からの隔離)、第104条(他の事業又は事務の関与制限)
    対象
    法令の適用対象
    対象時点・期間
    2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1947-10-21
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    昭和22年法律第120号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の事情に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-HAKEN-LAW
    表・項目
    第4条(派遣が禁止される業務)、第40条の2第1項第4号・第5号(産前産後・育児休業、介護休業の代替)、第35条の4(日雇労働者についての労働者派遣の禁止)、第2条第1号・第4号(労働者派遣・紹介予定派遣の定義)、第26条第6項(派遣労働者を特定する行為)、第34条(就業条件等の明示)
    対象
    法令の適用対象(派遣元・派遣先・派遣労働者)
    対象時点・期間
    2026-09-27 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1985-07-05
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    昭和60年法律第88号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の求人・就業場所が派遣の禁止に当たるかを判定しない。実際の可否は許可を受けた派遣元と就業場所で確かめる。公布日は制定時で、条文は改正後の現行版。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-HAKEN-ORDER
    表・項目
    第2条第1項(派遣が禁止される医療関係業務と除外)、第4条第1項第19号(日雇派遣が認められる業務としての看護業務)、第4条第2項(日雇派遣が認められる場合)
    対象
    法令の適用対象(派遣元・派遣先・派遣労働者)
    対象時点・期間
    2026-09-27 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1986-04-03
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    昭和61年政令第95号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の求人・就業場所が派遣の禁止に当たるかを判定しない。実際の可否は許可を受けた派遣元と就業場所で確かめる。公布日は制定時で、条文は改正後の現行版。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-HAKEN-RULE
    表・項目
    第1条第2項(令第2条第1項第1号の「病院等」から除かれる診療所)、第28条の3(令第4条第2項第3号の収入の額と額:本人の1年分の収入、または配偶者等の収入で生計を維持する者は本人と生計を一にする配偶者等の収入の合算。額は500万円)
    対象
    法令の適用対象(派遣元・派遣先・派遣労働者)
    対象時点・期間
    2026-09-27 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1986-04-17
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    昭和61年労働省令第20号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の求人・就業場所が派遣の禁止に当たるかを判定しない。実際の可否は許可を受けた派遣元と就業場所で確かめる。公布日は制定時で、条文は改正後の現行版。
  • 厚生労働省「労働者派遣法が改正されました:派遣元事業主・派遣先の皆様(日雇派遣の原則禁止)」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    MHLW-HAKEN-QA-2012
    表・項目
    派遣元事業主・派遣先に新たに課される事項 1 日雇派遣の原則禁止(例外[1]政令で定める業務、[2]60歳以上・雇用保険の適用を受けない学生・副業として日雇派遣に従事する人(生業収入500万円以上)・主たる生計者でない人(世帯収入500万円以上))
    対象
    派遣元事業主・派遣先(平成24年改正労働者派遣法)
    対象時点・期間
    平成24年10月1日施行の改正の説明
    公表日
    公式に記載なし(取得日とは別)
    取得日
    2026-09-30
    確認版
    平成24年改正の説明ページ
    読み方・制約
    ページに公表日の表示なし。取得日で代用しない。医療関係業務の派遣禁止(令第2条)は別の決まりで、このページの人の例外で解除されない(令第4条第1項第19号・第2項と照合)。

出典:8件 / ファクトチェック:

次の確認目安:2026-10-07(週次)。週次で新しい版・訂正・公式条件を確認します。年次資料は新公表後3か月以内を目安に更新し、誤りは随時訂正します。

出典一覧の「確認版」は今回読んだ資料です。公表日が明記されていないページを、取得日に公表された資料として扱いません。

変更記録:2026-09-28 初稿作成(第4回)。副業の考え方は厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」、労働時間の通算・公務員の兼業・派遣の条件は法令の条文で確認。確認票は編集部作成。2026-09-29、題名と冒頭(答え・この記事で分かること)を整理し、本文を読みやすくした(長い段落と文を分け、数字の一部を表に、確認票を記事の中ほどへ)。数字・出典の変更なし。2026-09-30、監査に対応:F03 単発の派遣の節で、働く場所の禁止と日雇派遣の人の条件を分けて記載。