産業保健師になるには、まず保健師の免許が要る

保健師助産師看護師法は、保健師を次のように定めています。「厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者」です。保健師でない人が、保健師やこれに似た名称を使って保健指導を業とすることはできません。保健師助産師看護師法 第2条・第29条 ↗

保健師になるには、保健師国家試験と看護師国家試験の両方に合格し、免許を受けます。保健師国家試験を受けられるのは、次のような人です。指定を受けた学校で1年以上、保健師になるのに必要な学科を修めた人や、指定の保健師養成所を卒業した人などです。同法 第7条・第19条 ↗

「産業保健師」という名前の免許は、この法律にはありません。企業などの職場で働く保健師を指して使われる呼び方です。

産業保健師になるには、今の資格から進み方を選ぶ

今の状況ごとの進み方と確認先
今の状況次に必要なこと確認先
看護師免許だけを持っている指定の学校・養成所で1年以上学び、保健師国家試験に合格して保健師の免許を受ける学校・養成所の募集要項(入学の要件、期間、費用)
看護学生在学中に保健師の課程を選べるか、選抜があるかを確かめる在籍している学校
保健師免許があり、病院や行政などで働いてきた求人ごとに求める経験と業務を確かめる。経験年数の条件は法律ではなく会社の採用条件求人票・面接
看護師のまま企業で働きたい保健師の名称は使えない。企業の看護職の求人か、担う業務は何かを確かめる。ストレスチェックの実施者になるには厚生労働大臣が定める研修の修了が要る求人票・面接、労働安全衛生規則 第52条の10

未経験で採用されるか、年収がいくらになるかは、この表からは分かりません。会社ごとの採用条件と、採用時に書面で示される労働条件で確かめてください。厚生労働省:労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第39号) ↗

産業保健師になるには、求人票で何を確かめるか

産業保健師の求人を確かめる票
確認する項目求人票・面接で聞くこと答えがあいまいなら残すこと
事業場の規模と数担当する事業場はいくつか、それぞれ常時何人の労働者がいるか(50人以上か)担当の範囲、出張や巡回の有無
産業医の体制産業医は選任されているか、事業場に専属か非常勤か、相談できる頻度医師との連携の方法
看護職の配置保健師・看護師は何人いるか、業務の指示や相談の相手は誰か一人で担う場面があるか
担う業務保健指導、ストレスチェックの実施者か実施の事務か、健康診断の後の対応、健康相談、事務のどれを担うか法令上の役割と社内の業務の区別
健康情報の扱い健康情報を扱う担当と権限、取扱いの規程があるか人事の権限を持つ人との分け方
雇用の形正社員・契約社員・派遣のどれか、契約期間と更新の条件、就業場所と業務の変更の範囲書面の労働条件

照合票・質問例は編集部が作成したものです。職場の実態を示す統計や、条件がかなうことの保証ではありません。未確認の欄をゼロや「なし」で埋めず、回答者・確認日・書面名を残してください。

ストレスチェックの実施の事務には、従事できない人が規則で定められています。解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ、監督的な立場の人です。健康情報を誰が扱うかは、仕事の中身と直結する確認点です。労働安全衛生規則 第52条の10第2項 ↗

票に記入するときは、社員の健康情報や、個人を特定できる情報を書かないでください。

自分の条件を書き込むときに

この照合票を保存する(表計算用TSV) ↓

表計算ソフトで開き、確認結果・未確認の点・回答者と確認日を記入できます。空欄は未確認のまま残してください。患者情報は記入しないでください。

産業保健師になるには、法令での保健師の役割を知っておく

労働安全衛生法令で保健師が出てくる規定
規定誰が行うか保健師の位置づけ条文
産業医の選任常時50人以上の労働者を使用する事業場で、医師のうちから選任する選任の対象は医師で、保健師ではない法第13条、施行令第5条
産業医の選任義務がない事業場の健康管理医師その他の省令で定める者に行わせるよう努める(努力義務)省令で「労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する保健師」と定める法第13条の2、規則第15条の2
健康診断の後の保健指導医師または保健師(努力義務)担い手として定める法第66条の7
心理的な負担の程度を把握する検査(一般にストレスチェックと呼ばれる)の実施者医師、保健師、研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師実施者として定める法第66条の10、規則第52条の10

表の出典厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働安全衛生法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057(取得日 2026-09-27)厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働安全衛生法施行令」 https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000318(取得日 2026-09-27)厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働安全衛生規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032(取得日 2026-09-27)労働安全衛生法 ↗同法施行令 第5条 ↗労働安全衛生規則 第15条の2・第52条の10 ↗

法律で選任が義務づけられているのは産業医で、保健師は、保健指導や検査の実施者などの担い手として定められています。求人の業務が、こうした法令上の役割なのか、健康相談や事務などの社内の業務なのかは、会社ごとに違います。

附則の経過措置や、事業場の規模による適用の違いは、この表では扱っていません。自分の職場への当てはめは、会社の担当者や労働基準監督署などで確かめてください。

産業保健師になるには、事業所で働く保健師の人数も知っておく

厚生労働省の衛生行政報告例(就業医療関係者)の表2で、2024年末に就業していた人数を見ます。就業場所が「事業所」の保健師は、保健師全体の1割に満たない数です。

2024年末に就業していた保健師・看護師(衛生行政報告例 表2)
区分人数
就業している保健師(全体)63,536人
そのうち就業場所が「事業所」の保健師5,045人(構成割合7.9%)
就業場所が「事業所」の看護師5,879人

表の出典厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/dl/kekka1.pdf(取得日 2026-09-27)衛生行政報告例 表2(2024年末) ↗

いずれも実人員です。「事業所」は就業場所の区分で、求人の数、採用のされやすさ、雇用の形は分かりません。前の調査との比較や傾向は、比較できる時点の表を照合していないため示しません。

出典とファクトチェック

  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「保健師助産師看護師法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-HOJOKAN-LAW
    表・項目
    第2条(保健師の定義)、第7条(免許)、第19条(保健師国家試験の受験資格)、第29条(名称の使用)、第33条(業務従事者の届出)、第5条・第6条(看護師・准看護師の定義)、第7条第3項、第21条(看護師国家試験の受験資格)、第10条〜第12条(籍と免許の登録)、第28条の2(研修の努力義務)、第37条の2(特定行為研修)、第42条の2(秘密を守る義務)、第37条(特定行為の制限)
    対象
    法令の適用対象(事業者・労働者・免許の申請者)
    対象時点・期間
    2026-09-27 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1948-07-30
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    昭和23年法律第203号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    公布日は制定時の日付で、取得した条文は改正後の現行版。附則の経過措置(事業場の規模による適用の違いなど)までは記事で扱わない。個別の事業場への当てはめを断定しない。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働安全衛生法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-ANZEN-LAW
    表・項目
    第13条(産業医)、第13条の2(産業医の選任義務のない事業場の健康管理)、第66条の7(保健指導)、第66条の10(心理的な負担の程度を把握するための検査)、第66条(健康診断)、第66条の2(自発的健康診断の結果の提出)、第12条(衛生管理者)・第66条の4(医師等からの意見聴取)・第66条の7(保健指導)・第66条の8(面接指導)
    対象
    法令の適用対象(事業者・労働者・免許の申請者)
    対象時点・期間
    2026-09-27 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1972-06-08
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    昭和47年法律第57号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    公布日は制定時の日付で、取得した条文は改正後の現行版。附則の経過措置(事業場の規模による適用の違いなど)までは記事で扱わない。個別の事業場への当てはめを断定しない。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働安全衛生法施行令」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-ANZEN-ORDER
    表・項目
    第5条(産業医を選任すべき事業場)、第4条(衛生管理者を選任すべき事業場)
    対象
    法令の適用対象(事業者・労働者・免許の申請者)
    対象時点・期間
    2026-09-27 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1972-08-19
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    昭和47年政令第318号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    公布日は制定時の日付で、取得した条文は改正後の現行版。附則の経過措置(事業場の規模による適用の違いなど)までは記事で扱わない。個別の事業場への当てはめを断定しない。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働安全衛生規則」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-ANZEN-RULE
    表・項目
    第15条の2(法第13条の2の省令で定める者)、第52条の10(検査の実施者)、第13条第1項第3号ヌ(深夜業を含む業務)、第45条(特定業務従事者の健康診断)、第10条(衛生管理者の資格)・第62条と別表第四(免許を受けることができる者)
    対象
    法令の適用対象(事業者・労働者・免許の申請者)
    対象時点・期間
    2026-09-27 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1972-09-30
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    昭和47年労働省令第32号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    公布日は制定時の日付で、取得した条文は改正後の現行版。附則の経過措置(事業場の規模による適用の違いなど)までは記事で扱わない。個別の事業場への当てはめを断定しない。
  • 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    MHLW-EISEI-2024
    表・項目
    表1 就業保健師等の年次推移/表2 就業場所別にみた就業保健師等(実人員・常勤換算数)、2024年末、冊子3頁
    対象
    全国の就業看護師(免許保有者総数ではない。准看護師等は別区分)
    対象時点・期間
    2024年末。比較可能系列2020・2022・2024年
    公表日
    2025-07-29
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    2024年末
    読み方・制約
    就業者数の増加を求人や個人の採用確率の増加へ読み替えない。 表2の「事業所」は就業場所の区分で、産業保健師の求人数・採用数・雇用形態を示さない。
  • 厚生労働省「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第39号)」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    MHLW-ORD39-2023
    表・項目
    第5条第1項第1号の2・第1号の3 新旧対照、附則
    対象
    労働契約締結・有期契約更新等における労働条件明示
    対象時点・期間
    2024-04-01施行
    公表日
    2023-03-30
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    2023-03-30公布の改正省令
    読み方・制約
    公布日と施行日を区別。有期契約だけの明示事項を無期契約一般に広げない。個別法的判断を代行しない。

出典:6件 / ファクトチェック:

次の確認目安:2026-09-28(週次)。週次で新しい版・訂正・公式条件を確認します。年次資料は新公表後3か月以内を目安に更新し、誤りは随時訂正します。

出典一覧の「確認版」は今回読んだ資料です。公表日が明記されていないページを、取得日に公表された資料として扱いません。

変更記録:2026-09-27 初稿作成(第2回)。数値は衛生行政報告例 表2の原表と照合、法令は e-Gov の条文で確認。確認票は編集部作成。2026-09-29、題名と冒頭(答え・この記事で分かること)を整理し、本文を読みやすくした(長い段落と文を分け、数字の一部を表に、確認票を記事の中ほどへ)。数字・出典の変更なし。