看護師の退職金は、就業規則の定めで決まる
労働基準法は、常時10人以上の労働者を使う使用者に、就業規則の作成と届出を求めています。退職手当の定めをする場合は、次のことを就業規則に書きます。適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払の方法、支払の時期です。労働基準法 第89条第3号の2 ↗
つまり、退職金があるかどうかと額は、勤め先ごとの定めによります。平均の額を見る前に、自分の勤め先の規程を確かめることが先です。
看護師の退職金で、就業規則から確かめる項目
| 確かめる項目 | 規程で見る点 | 記入欄 |
|---|---|---|
| 対象になる人 | 正職員だけか、非常勤・有期契約も含むか | |
| 勤続年数の条件 | 何年以上勤めると支給されるか | |
| 計算の方法 | 基本給×支給率、ポイント制など | |
| 自己都合と会社都合 | 自己都合で退職したときの率 | |
| 勤続年数の数え方 | 休職・育児休業の期間をどう数えるか | |
| 支払の時期 | 退職後いつ支払われるか | |
| 外部の制度 | 外部の退職金の制度に加入しているか |
照合票・質問例は編集部が作成したものです。職場の実態を示す統計や、条件がかなうことの保証ではありません。未確認の欄をゼロや「なし」で埋めず、回答者・確認日・書面名を残してください。
規程を見られないときは、人事の担当者に確かめます。退職のときに、使用期間・業務の種類・賃金などの証明書を請求することもできます。同法 第22条 ↗
書き出した条件で求人を比べるときは、ハローワークやナースセンターで自分で探せます。転職エージェントに、条件の確認や交渉を頼む方法もあります。相談先ごとの違いは転職エージェントの比較で整理しています。
自分の条件を書き込むときに
この照合票を保存する(表計算用TSV) ↓表計算ソフトで開き、確認結果・未確認の点・回答者と確認日を記入できます。空欄は未確認のまま残してください。患者情報は記入しないでください。
看護師の退職金にかかる税(退職所得控除)
退職金は、所得税法で「退職所得」とされます。退職所得の金額は、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた残りの2分の1です。勤続5年以下の短期退職手当などは、別の計算です。所得税法 第30条第2項 ↗
| 勤続年数 | 退職所得控除額の計算 | 例 |
|---|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(80万円に満たないときは80万円) | 勤続10年なら400万円。勤続1年なら80万円 |
| 20年を超える | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年) | 勤続25年なら1,150万円 |
表の出典e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「所得税法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033(取得日 2026-09-28)国税庁「タックスアンサー No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm(取得日 2026-09-30)所得税法 第30条第3項・第6項第2号 ↗国税庁 No.1420 退職所得控除額の計算の表 ↗
勤続年数に1年未満の端数があるときは、1年に切り上げて数えます(例:10年2か月は11年)。同 例1 ↗
例は条文の式に当てはめた編集部の計算です。障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、控除額に100万円が加わります。
前の年までにほかの退職金を受け取っている場合なども、計算が変わります。個別の計算は勤め先や税務署に確かめてください。
看護師が退職金を受け取る前に確かめること
- 退職の日が、規程の勤続年数の区切りの前後で率が変わらないか。
- 年次有給休暇の残りを使ってから退職する場合、退職の日がいつになるか。
- 退職金の支払の時期と、受け取る口座。
- 「退職所得の受給に関する申告書」を勤め先に出すか。出さないと支払額の20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算します。
退職の手続き全体は、看護師を辞めたいときの記事で、申入れ・年次有給休暇・退職時の証明の条文とあわせて整理しています。厚生労働省:退職、解雇、雇止めなど ↗国税庁 No.1420 税額の計算方法 ↗
出典とファクトチェック
- 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働基準法」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- EGOV-ROUKI-LAW
- 表・項目
- 第37条第4項(深夜の割増賃金)、第66条第3項(妊産婦の深夜業)、第22条(退職時等の証明)・第39条(年次有給休暇)・第89条(就業規則の作成及び届出の義務)、第24条(賃金の支払)、第38条(時間計算)、第27条(出来高払制の保障給)、第32条(労働時間)・第36条(時間外及び休日の労働)・第37条第1項(時間外・休日の割増賃金)
- 対象
- 法令の適用対象(事業主・労働者)
- 対象時点・期間
- 2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
- 公表日
- 1947-04-07
- 取得日
- 2026-09-28
- 確認版
- 昭和22年法律第49号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
- 読み方・制約
- 条文の読み方を示すもので、個別の職場・個人に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
- e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「所得税法」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- EGOV-SHOTOKU-LAW
- 表・項目
- 第30条(退職所得。第3項 退職所得控除額、第6項第2号 80万円に満たない場合は80万円)、第183条(源泉徴収義務)、第186条(賞与に係る徴収税額)、第190条(年末調整)
- 対象
- 法令の適用対象
- 対象時点・期間
- 2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
- 公表日
- 1965-03-31
- 取得日
- 2026-09-28
- 確認版
- 昭和40年法律第33号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
- 読み方・制約
- 条文の読み方を示すもので、個別の事情に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
- 国税庁「タックスアンサー No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- NTA-1420
- 表・項目
- 退職所得控除額の計算の表(20年以下は40万円×勤続年数、80万円に満たない場合は80万円)、(例1)勤続年数の1年未満の端数の切り上げ、(注1)障害者になったことが直接の原因の退職は100万円を加算、税額の計算方法(「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は20.42%の源泉徴収)
- 対象
- 退職手当等を受け取る人
- 対象時点・期間
- 令和8年4月1日現在法令等(ページの表示)
- 公表日
- 公式に記載なし(取得日とは別)
- 取得日
- 2026-09-30
- 確認版
- 令和8年4月1日現在法令等
- 読み方・制約
- ページに公表日の表示なし(「令和8年4月1日現在法令等」の表示のみ)。取得日で代用しない。条文は EGOV-SHOTOKU-LAW(第30条第6項第2号で最低80万円を確認)。
- 厚生労働省「退職、解雇、雇止めなど」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- MHLW-RESIGNATION-GUIDE
- 表・項目
- 任意退職・合意退職、契約期間、就業規則
- 対象
- 一般の労働者
- 対象時点・期間
- 取得時点の案内
- 公表日
- 公式に記載なし(取得日とは別)
- 取得日
- 2026-09-27
- 確認版
- 取得時点の案内
- 読み方・制約
- 無期・有期、合意・一方的意思表示を区別。個別の退職日を記事で確定しない。
変更記録:2026-09-28 初稿作成(第3回)。退職手当の決まりは労働基準法、退職所得控除は所得税法の条文で確認。確認票は編集部作成。2026-09-29 に冒頭の答えの最初の文へ、統計の値(出どころ・時点つき)か、値を示せない理由を入れた(本文の数字・出典の変更なし)。2026-09-29、確認票の節の最後に比較の記事への案内を追加。2026-09-29、題名と冒頭(答え・この記事で分かること)を整理し、本文を読みやすくした(長い段落と文を分け、数字の一部を表に、確認票を記事の中ほどへ)。数字・出典の変更なし。2026-09-30、監査に対応:F01 退職所得控除の最低80万円、勤続年数の端数の切り上げ、障害者の加算、申告書と源泉徴収を追記(所得税法 第30条第6項第2号・国税庁 No.1420)。
