看護師の休職の期間と給与は、就業規則で決まる

休職は、働く人としての身分を残したまま、一定の期間、働く義務を免除する扱いです。厚生労働省のモデル就業規則は、休職の定義や期間、復職について「労基法に定めはありません」と説明しています。モデル就業規則 第9条の解説 ↗

そのため、休職できる期間や、その間の給与は、勤め先の就業規則で決まります。常時10人以上を使用する職場には、就業規則を作って届け出る義務があります。労働基準法 第89条 ↗

働き始めるときに明示される労働条件にも、定めがある場合は「休職に関する事項」が入ります。就業規則と、採用のときの書面で確かめましょう。労働基準法施行規則 第5条第1項第11号 ↗

モデル就業規則(令和7年12月版)の休職の規程例
項目規程例の内容
休職に入る条件業務外の傷病による欠勤が一定の月数を超え、なお療養が必要で勤務できないとき
休職の期間規程例では空欄(職場ごとに決める)
復職休職の事由がなくなったら、原則として元の職務に復帰。難しい場合は、他の職務に就かせることがある
期間が満了したとき傷病が治らず就業が困難な場合は、満了をもって退職とする

表の出典厚生労働省 労働基準局 監督課「モデル就業規則(令和7年12月版)」(取得日 2026-10-06)モデル就業規則 第9条(休職) ↗

規程例は見本で、実際の定めは職場ごとに違います。病気休暇も、法律で必ず定めるものではなく、職場ごとの定めです。

仕事が原因の病気やけがで休む場合は、扱いが別です。療養のために休む期間とその後30日間は、原則として解雇が禁止されています。労働基準法 第19条第1項 ↗

この場合は、健康保険の傷病手当金ではなく、労災保険の給付の対象になります。協会けんぽ 傷病手当金(給付対象) ↗

看護師の休職中のお金(傷病手当金の条件と計算)

休職中の給与が出ない、または少ないときに使えるのが、健康保険の傷病手当金です。協会けんぽは、次の4つをすべて満たす場合に支給されるとしています。

傷病手当金が支給される4つの条件(協会けんぽ)
条件内容
業務外の病気やけがの療養のための休業仕事や通勤が原因のものは、労災保険の対象で、支給されません
仕事に就くことができない療養を担当する医師などの意見を基に、仕事の内容を考えて判断されます
連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けなかった最初の連続3日間(待期)には、有給休暇や公休日も含みます。4日目以降が支給の対象です
休んだ期間に給与の支払いがない給与が出ても、傷病手当金より少ないときは、差額が支給されます

表の出典全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」(取得日 2026-10-06)e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「健康保険法」(取得日 2026-09-28)協会けんぽ 傷病手当金(給付対象) ↗健康保険法 第99条第1項・第108条第1項 ↗

1日あたりの額は、標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2です。平均は、支給が始まる月以前の、続いた12か月で出します。健康保険法 第99条第2項 ↗

標準報酬月額は、給与の月額を等級の区分に当てはめた額で、社会保険料の計算にも使われます。健康保険法 第40条第1項 ↗

協会けんぽの例では、平均が17万円のとき、1日あたり3,780円です。17万円を30で割って5,670円、その3分の2で3,780円と計算しています。協会けんぽ 傷病手当金(支給額例) ↗

支給される期間は、同じ病気やけがについて、支給が始まった日から通算して1年6か月です。健康保険法 第99条第4項 ↗

申請書は「健康保険傷病手当金支給申請書」です。協会けんぽの場合は、加入している支部に出します。協会けんぽ 傷病手当金(申請に関して) ↗

この記事は、健康保険法と協会けんぽの案内をもとにしています。健康保険組合に加入している人は、自分の組合に確かめてください。共済組合の制度は扱っていません。

看護師の休職中の社会保険料(給与が出ない月も払うのか)

健康保険料は、被保険者と事業主が半分ずつ負担します。健康保険法 第161条第1項 ↗保険料を徴収しない期間として条文に書かれているのは、育児休業等の期間と、産前産後休業の期間です。健康保険法 第159条・第159条の3 ↗

編集部が保存した2026年10月10日時点の条文には、病気による休職の期間について、同じ定めは見当たりませんでした。傷病手当金を受けている間の保険料の扱いも、協会けんぽの傷病手当金の案内には書かれていません。

事業主が保険料のうち被保険者の分を給与から引けるのは、通貨で報酬を支払う場合です。引くときは、前月分の標準報酬月額にかかる保険料で、引いた額の計算書を本人に知らせることになっています。健康保険法 第167条第1項・第3項 ↗

給与が出ない月に本人の分をどう払うかは、条文からは決まりません。休職に入る前に、勤め先の担当者へ、払い方と時期を確かめましょう。下の確認票にも、この項目を入れています。

健康保険の保険料の話で、厚生年金保険料と住民税は扱っていません。健康保険組合や共済組合に加入している人は、自分の組合に確かめてください。

看護師が休職を申し出る前の確認票

看護師が休職を申し出る前の確認票
確かめること確かめる先分かったこと確認日
休職に入る条件(欠勤の日数など)就業規則
休職できる期間就業規則
休職中の給与・賞与の扱い就業規則・給与の規程
休職中の社会保険料の支払い方人事・総務の担当
診断書の出し先と期限人事・総務の担当、上司
傷病手当金の申請の進め方加入している健康保険の窓口
復職の手続き(診断書、面談など)就業規則、人事・総務の担当
休職の期間が満了したときの扱い就業規則

確認票は編集部が作成したものです。職場の実態を示す統計や、条件がかなうことの保証ではありません。未確認の欄をゼロや「なし」で埋めず、回答者・確認日・書面名を残してください。

確認票は、休む前に聞いておくことを並べたものです。分からない欄は空欄のままにして、担当者に聞いた日と答えを書き足します。

自分の条件を書き込むときに

この照合票を保存する(表計算用TSV) ↓

表計算ソフトで開き、確認結果・未確認の点・回答者と確認日を記入できます。空欄は未確認のまま残してください。患者情報は記入しないでください。

看護師の休職は、どのくらいの病院で起きているか

日本看護協会の「2025年 病院看護実態調査」は、2024年度の長い休みについて病院に聞いています。病気で1か月以上の連続休暇を取った正規雇用の看護職員が「いた」病院は、72.6%でした。

2024年度に、病気で1か月以上の連続休暇を取った正規雇用の看護職員がいた病院(日本看護協会)
項目病院の数割合
回答した病院3,502—
病気で1か月以上休んだ人がいた病院2,54272.6%
うち、メンタルヘルスの不調の人がいた病院2,02179.5%(上の2,542病院のうち)

表の出典公益社団法人日本看護協会「「2025年 病院看護実態調査」結果(ニュースリリース)」(取得日 2026-09-28)

メンタルヘルスの不調の人がいた病院では、その人数の平均は5.4人、中央値は3人でした。2025年 病院看護実態調査 図表16・17 ↗

病院ごとの回答の割合で、休んだ看護職員の割合ではありません。病院だけの調査で、有効回収率は43.7%です。1時点の値で、増減の傾向は示していません。

回答した病院の7割を超えるところで、病気による長い休みが実際に起きています。

看護師が休職から復職するまでの5つの段階

厚生労働省は、心の健康の問題で休んだ人の職場復帰について、事業場向けの手引きを出しています。手引きは、復職までを5つの段階に分けています。

職場復帰支援の5つのステップ(厚生労働省の手引き)
段階内容
第1ステップ病気休業の開始と、休業中のケア(診断書の提出など)
第2ステップ主治医による、職場復帰が可能という判断
第3ステップ職場復帰の可否の判断と、職場復帰支援プランの作成
第4ステップ最終的な職場復帰の決定
第5ステップ職場復帰後のフォローアップ

表の出典厚生労働省・独立行政法人労働者健康安全機構「改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(パンフレット)」(取得日 2026-10-06)心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(職場復帰支援の流れ) ↗

手引きは事業場に向けたもので、実際の進め方は職場ごとに決められます。復職の時期や働き方は、主治医と職場に確かめながら決めていきます。

この記事は、心身の不調への対処を助言するものではありません。

看護師が休職のまま退職するときに変わること

休職の期間が満了しても復職できないときの扱いは、就業規則で決まります。モデル就業規則の規程例は、満了をもって退職としています。モデル就業規則 第9条第3項 ↗

退職したあとも、次の2つを満たせば、傷病手当金を続けて受けられます。

  • 退職日までに、健康保険の被保険者の期間が続けて1年以上あること
  • 退職日に、傷病手当金を受けているか、受けられる状態であること

健康保険法 第104条 ↗協会けんぽ 傷病手当金(資格喪失後の継続給付) ↗

一度仕事に就ける状態になると、その後に働けなくなっても支給されません。協会けんぽ 傷病手当金(資格喪失後の継続給付) ↗

退職金と、退職するときの決まりは、退職金の記事と辞めたいときの記事にまとめています。

体調が戻ってから働き方を変えたいときは、転職エージェントの比較の相談先に、勤務の日数や時間を相談できます。長く離れたあとの復職は、ブランクから復職する記事も参考になります。

出典とファクトチェック

  • 厚生労働省 労働基準局 監督課「モデル就業規則(令和7年12月版)」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    表・項目
    第9条(休職)の規程例と解説、第31条(病気休暇)の解説
    対象
    常時10人以上の労働者を使用する事業場などが就業規則を作るときの規程例
    対象時点・期間
    令和7年12月版
    公表日
    公式に記載なし(取得日とは別)
    取得日
    2026-10-06
    確認版
    令和7年12月版(公表日の記載なし。版の表示は年月まで)
    読むときの注意
    就業規則を作るための見本です。実際の決まりは、勤め先の就業規則で確かめてください。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働基準法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    表・項目
    第37条第4項(深夜の割増賃金)、第66条第3項(妊産婦の深夜業)、第22条(退職時等の証明)・第39条(年次有給休暇)・第89条(就業規則の作成及び届出の義務)、第24条(賃金の支払)、第38条(時間計算)、第27条(出来高払制の保障給)、第32条(労働時間)・第36条(時間外及び休日の労働)・第37条第1項(時間外・休日の割増賃金)、第19条第1項(解雇制限)、第89条第10号(就業規則のその他の定め)、第15条(労働条件の明示)、第89条第3号(退職に関する事項)
    対象
    法令の適用対象(事業主・労働者)
    対象時点・期間
    2026-09-28 時点の現行条文
    公表日
    1947-04-07
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    昭和22年法律第49号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読むときの注意
    条文の説明で、個別の職場や個人に当てはまるかを判定するものではありません。公布日は制定時の日付で、条文は現行のものです。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働基準法施行規則」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    表・項目
    第5条第1項第11号(労働契約の締結のときに明示する労働条件:休職に関する事項)、第5条第1項第1号〜第4号・第3項・第4項(書面の交付で明示する事項と方法)、第24条の3(年次有給休暇の比例付与の日数)
    対象
    法令の適用対象(事業主・労働者)
    対象時点・期間
    2026-10-06 時点の現行条文
    公表日
    1947-08-30
    取得日
    2026-10-06
    確認版
    昭和22年厚生省令第23号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読むときの注意
    条文の説明で、個別の職場や個人に当てはまるかを判定するものではありません。公布日は制定時の日付で、条文は現行のものです。
  • e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「健康保険法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    表・項目
    第3条第5項・第6項(報酬・賞与の定義)、第41条(定時決定)、第43条(改定)、第45条(標準賞与額の決定)、第156条(被保険者の保険料額)、第161条(保険料の負担及び納付義務)、第167条(保険料の源泉控除)、第40条第1項(標準報酬月額)、第99条(傷病手当金)、第159条・第159条の3(育児休業等・産前産後休業中の保険料の不徴収)、第104条(傷病手当金の継続給付)、第108条第1項(報酬との調整)、第3条第1項第9号(短時間労働者の適用除外)
    対象
    法令の適用対象
    対象時点・期間
    2026-10-10 時点の現行条文
    公表日
    1922-04-22
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    大正11年法律第70号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読むときの注意
    条文の説明で、個別の職場や個人に当てはまるかを判定するものではありません。公布日は制定時の日付で、条文は現行のものです。
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    表・項目
    給付対象(4つの要件)、給付内容(支給期間・支給金額の例)、申請に関して、資格喪失後の継続給付について
    対象
    協会けんぽに加入する被保険者
    対象時点・期間
    取得時点の案内
    公表日
    公式に記載なし(取得日とは別)
    取得日
    2026-10-06
    確認版
    取得時点の案内(公表日の記載なし)
    読むときの注意
    協会けんぽに加入している人向けの案内です。健康保険組合や共済組合に加入している人は、加入先に確かめてください。
  • 公益社団法人日本看護協会「「2025年 病院看護実態調査」結果(ニュースリリース)」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    表・項目
    Ⅱ 看護師の給与 図表(看護師の給与:新卒看護師の初任給(高卒+3年課程卒・大卒)、勤続10年の看護師の給与(31〜32歳、非管理職))の平均基本給与額・平均税込給与総額、Ⅰ 看護職員の離職率等 1.看護職員の離職率(正規雇用・新卒採用者・既卒採用者)、Ⅲ 3.理由別休職状況とメンタルヘルス不調者の状況 図表16(2024年度の理由別連続休暇(1か月以上)を取得した正規雇用看護職員の状況)・図表17(病気休暇のうちのメンタルヘルス不調者)
    対象
    全国の病院(全数に調査票を送付)で、回答した病院の看護師の給与、看護職員の離職率、休職の状況。平均は回答病院の値の平均
    対象時点・期間
    2025年度の実績(調査期間 2025年10月1日〜11月17日、全国の病院8,022施設に依頼、有効回収3,502・43.7%)
    公表日
    2026-03-31
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    2025年 病院看護実態調査(2026-03-31 公表)
    読むときの注意
    回答した病院の平均・割合で、全国の看護師の平均ではありません(有効回収率は4割台)。病院だけの調査で、診療所・介護施設などを含みません。初任給は手取りではありません。休職の表は、病院ごとの回答の割合で、休んだ看護職員の割合ではありません。離職率は、定年退職を含む退職者の割合で、転職した人だけの割合ではありません。既卒採用者の離職率は、その年度に既卒で採用された人のうち、年度内に退職した人の割合です。
  • 厚生労働省・独立行政法人労働者健康安全機構「改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(パンフレット)」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    表・項目
    職場復帰支援の流れ(第1ステップ〜第5ステップ)
    対象
    メンタルヘルス不調により休業した労働者の職場復帰を支援する事業場
    対象時点・期間
    平成21年3月改訂の手引きの内容(パンフレットの奥付の表示は 2024.7)
    公表日
    2009-03
    取得日
    2026-10-06
    確認版
    改訂版(平成21年3月改訂)
    読むときの注意
    事業場向けの手引きで、心の健康の問題による休業を対象にしています。実際の進め方は、職場ごとに決められます。

出典:7件 / ファクトチェック:

出典一覧の「確認版」は今回読んだ資料です。公表日が明記されていないページを、取得日に公表された資料として扱いません。

作成:2026年10月6日。