看護師の手取りは、額面から何が引かれた額か

労働基準法は、賃金はその全額を支払うのが原則としています。一部を控除できるのは、法令に定めがある場合か、労使の書面の協定がある場合に限られます。給与明細の控除の欄には、主に次のものが並びます。労働基準法 第24条第1項 ↗

看護師の給与明細の主な控除と、その決まり
控除決まり明細で見るところ
健康保険料標準報酬月額に保険料率(子ども・子育て支援金の分を含む)を掛けた額を、本人と事業主が半分ずつ負担。前月分を給与から控除標準報酬月額の等級
介護保険料40歳以上65歳未満の医療保険の加入者(介護保険の第2号被保険者)は、健康保険料と合わせて徴収40歳から加わる
厚生年金保険料本人と事業主が半分ずつ負担。前月の標準報酬月額に係る分を給与から控除標準報酬月額の等級
雇用保険料一般保険料のうち雇用保険の分(二事業の分を除く)の2分の1を本人が負担し、賃金から控除賃金には手当や賞与も含まれる
所得税給与の支払いのたびに源泉徴収し、年末調整で1年分を精算扶養控除等申告書を出しているか
住民税前の年の所得に対する税額を、6月から翌年5月まで毎月の給与から特別徴収6月に金額が変わる
そのほか(寮費・親睦会費など)労使の書面の協定がある場合に限って控除できる何の費用か、協定があるか

表の出典e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「健康保険法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070(取得日 2026-09-28)厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「介護保険法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123(取得日 2026-09-27)e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「厚生年金保険法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115(取得日 2026-09-28)e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/344AC0000000084(取得日 2026-09-28)e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「所得税法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033(取得日 2026-09-28)e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「地方税法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226(取得日 2026-09-28)健康保険法 第156条・第161条・第167条 ↗介護保険法 第9条 ↗厚生年金保険法 第82条・第84条 ↗労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第2条第2項・第31条・第32条 ↗所得税法 第183条・第190条 ↗地方税法 第321条の3・第321条の5 ↗

保険料を控除した事業主は、控除額を本人に知らせることになっています。給与明細は、その通知でもあります。健康保険法 第167条第3項 ↗

看護師の手取りが変わる月(保険料・住民税・賞与)

看護師の保険料は、4〜6月の報酬で9月分から変わる

健康保険と厚生年金の保険料の基準になる標準報酬月額は、毎年4〜6月の3か月に受けた報酬の平均で決まります。その年の9月分から翌年8月分までの保険料に使われます。報酬には、残業代や夜勤手当などの手当も含まれます。

厚生年金保険も同じ仕組みです。4〜6月に夜勤や残業が多いと、9月分からの保険料が上がることがあります。健康保険法 第3条第5項・第41条 ↗厚生年金保険法 第21条 ↗日本年金機構 定時決定 ↗

給与から引けるのは、前月分の保険料です。そのため、9月分の保険料が給与から引かれるのは、10月以降に支払われる給与です。どの月の給与からかは、明細と勤め先の扱いで確かめます。健康保険法 第167条第1項 ↗厚生年金保険法 第84条第1項 ↗

異動や勤務の形の変更などで、継続した3か月の報酬が大きく変わったときは、途中で標準報酬月額が改定されることもあります。健康保険法 第43条 ↗

看護師の住民税は6月に切り替わる

給与から引かれる住民税は、前の年の給与所得に対する税額を、6月から翌年5月までの12回に分けて徴収する仕組みです。前の年に給与の支払いを受けていない人(新卒で入職した年など)は、その年は給与からの住民税の特別徴収がありません。入職した翌年の6月から始まるのが一般的です。地方税法 第321条の3・第321条の5 ↗

看護師の賞与の月の手取り

賞与からも健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税が引かれます。詳しくはボーナスの記事で説明しています。

看護師の給与明細で手取りを確かめる票

看護師の給与明細で手取りを確かめる票
明細の項目今月前の月変わった理由
総支給額(額面)
うち夜勤手当・時間外手当
健康保険料(介護保険料)
厚生年金保険料
雇用保険料
所得税
住民税
そのほかの控除
差引支給額(手取り)

照合票・質問例は編集部が作成したものです。職場の実態を示す統計や、条件がかなうことの保証ではありません。未確認の欄をゼロや「なし」で埋めず、回答者・確認日・書面名を残してください。

前の月と比べて控除が変わっていたら、切り替えに当たらないかを確かめます。標準報酬月額(9月分の保険料から)、住民税(6月から)、介護保険料(40歳になると加わる)などです。分からない控除は、給与の担当に何の控除かを書面で確かめましょう。

書き出した条件で求人を比べるときは、ハローワークやナースセンターで自分で探せます。転職エージェントに、条件の確認や交渉を頼む方法もあります。相談先ごとの違いは転職エージェントの比較で整理しています。

自分の条件を書き込むときに

この照合票を保存する(表計算用TSV) ↓

表計算ソフトで開き、確認結果・未確認の点・回答者と確認日を記入できます。空欄は未確認のまま残してください。患者情報は記入しないでください。

看護師の手取りを、統計の月給から考えるときの注意

賃金構造基本統計調査(令和7年)の看護師の「きまって支給する現金給与額」は365.9千円です。そのうち所定内給与額は333.2千円です。どちらも税・社会保険料を引く前の額(額面)で、残業代などを含むきまって支給する額は、6月1か月分の値です。令和7年 職種第1表 ↗主な用語の定義 ↗

控除の額は、人によって違います。年齢(介護保険料)、扶養の状況(所得税)、前の年の所得と住んでいる市区町村(住民税)などによるためです。そのため、この記事では統計の月給から手取りの額を試算していません。

自分の手取りは、上の票で給与明細から確かめてください。年収の統計は年収の記事で整理しています。

出典とファクトチェック

  • e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「健康保険法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-KENPO-LAW
    表・項目
    第3条第5項・第6項(報酬・賞与の定義)、第41条(定時決定)、第43条(改定)、第45条(標準賞与額の決定)、第156条(被保険者の保険料額)、第161条(保険料の負担及び納付義務)、第167条(保険料の源泉控除)
    対象
    法令の適用対象
    対象時点・期間
    2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1922-04-22
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    大正11年法律第70号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の事情に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
  • 日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    NENKIN-TEIJI
    表・項目
    1.定時決定とは(4〜6月の報酬の平均で標準報酬月額を決め直し、9月から翌年8月までの各月に適用)
    対象
    健康保険・厚生年金保険の被保険者
    対象時点・期間
    ページの更新日 2026年5月21日
    公表日
    公式に記載なし(取得日とは別)
    取得日
    2026-09-30
    確認版
    更新日:2026年5月21日(ページの表示)
    読み方・制約
    「更新日」はページの更新日で、公表日としては扱わない。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「介護保険法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-KAIGO-LAW
    表・項目
    第115条の35(介護サービス情報の報告及び公表)、第9条(被保険者)
    対象
    法令の適用対象(介護サービス事業者・都道府県)
    対象時点・期間
    2026-09-27 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1997-12-17
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    平成9年法律第123号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の事業所の良し悪しを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
  • e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「厚生年金保険法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-KOUNEN-LAW
    表・項目
    第21条(定時決定)、第24条の4(標準賞与額の決定)、第82条(保険料の負担及び納付義務)、第84条(保険料の源泉控除)
    対象
    法令の適用対象
    対象時点・期間
    2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1954-05-19
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    昭和29年法律第115号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の事情に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
  • e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-CHOUSHU-LAW
    表・項目
    第2条第2項(賃金の定義)、第31条(労働保険料の負担)、第32条(賃金からの控除)
    対象
    法令の適用対象
    対象時点・期間
    2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1969-12-09
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    昭和44年法律第84号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の事情に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
  • e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「所得税法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-SHOTOKU-LAW
    表・項目
    第30条(退職所得。第3項 退職所得控除額、第6項第2号 80万円に満たない場合は80万円)、第183条(源泉徴収義務)、第186条(賞与に係る徴収税額)、第190条(年末調整)
    対象
    法令の適用対象
    対象時点・期間
    2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1965-03-31
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    昭和40年法律第33号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の事情に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
  • e-Gov 法令検索(所管府省の法令)「地方税法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-CHIHOUZEI-LAW
    表・項目
    第321条の3(給与所得に係る個人の市町村民税の特別徴収)、第321条の4(特別徴収義務者の指定等)、第321条の5(特別徴収税額の納入の義務等)
    対象
    法令の適用対象
    対象時点・期間
    2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1950-07-31
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    昭和25年法律第226号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の事情に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「労働基準法」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    EGOV-ROUKI-LAW
    表・項目
    第37条第4項(深夜の割増賃金)、第66条第3項(妊産婦の深夜業)、第22条(退職時等の証明)・第39条(年次有給休暇)・第89条(就業規則の作成及び届出の義務)、第24条(賃金の支払)、第38条(時間計算)、第27条(出来高払制の保障給)、第32条(労働時間)・第36条(時間外及び休日の労働)・第37条第1項(時間外・休日の割増賃金)
    対象
    法令の適用対象(事業主・労働者)
    対象時点・期間
    2026-09-28 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
    公表日
    1947-04-07
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    昭和22年法律第49号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読み方・制約
    条文の読み方を示すもので、個別の職場・個人に当てはまるかを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
  • 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    MHLW-WAGE-2025
    表・項目
    職種第1表・男女計、男、女シート31行H/I/J(看護師)、同シート32行(准看護師)、企業規模別の列(L〜AH)
    対象
    全国、一般労働者、産業計、男女計、企業規模計10人以上、看護師(准看護師と別)
    対象時点・期間
    月額2025年6月、年間賞与等は原則2024年1〜12月
    公表日
    2026-03-24
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    2025年
    読み方・制約
    異なる対象期間の月給・賞与を用いる編集部年換算であり、2025年実測年収・手取り・個人の提示額ではない。概況民営事業所集計と職種原表の範囲を混同しない。
  • 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況:主な用語の定義」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    台帳ID
    MHLW-WAGE-YOUGO-2025
    表・項目
    「所定内給与額」「企業規模」「一般労働者」「年齢」「勤続年数」の定義、「短時間労働者」「1時間当たり所定内給与額」の定義、「雇用形態」(正社員・正職員の定義)
    対象
    同調査の用語
    対象時点・期間
    令和7年調査の概況
    公表日
    公式に記載なし(取得日とは別)
    取得日
    2026-09-28
    確認版
    令和7年
    読み方・制約
    ページに版日付の表示なし。取得日で代用しない。

出典:10件 / ファクトチェック:

次の確認目安:2026-10-07(週次)。週次で新しい版・訂正・公式条件を確認します。年次資料は新公表後3か月以内を目安に更新し、誤りは随時訂正します。

出典一覧の「確認版」は今回読んだ資料です。公表日が明記されていないページを、取得日に公表された資料として扱いません。

変更記録:2026-09-28 初稿作成(第4回)。控除の決まりは所得税法・地方税法・健康保険法・厚生年金保険法・労働保険の保険料の徴収等に関する法律・労働基準法の条文で確認。統計の月給は賃金構造基本統計調査の Excel の原表のセルと照合。手取りの額の試算は載せていません。確認票は編集部作成。2026-09-29 に冒頭の答えの最初の文へ、統計の値(出どころ・時点つき)か、値を示せない理由を入れた(本文の数字・出典の変更なし)。2026-09-29、確認票の節の最後に比較の記事への案内を追加。2026-09-29、題名と冒頭(答え・この記事で分かること)を整理し、本文を読みやすくした(長い段落と文を分け、数字の一部を表に、確認票を記事の中ほどへ)。数字・出典の変更なし。2026-09-30、監査に対応:F05 保険料の適用月(9月分から)と、給与から引く月(前月分を控除)を分けて記載。