訪問看護の転職で失敗しやすい点を、先に条件に分ける
- 利用者の家で、一人で判断する場面がある。相談できる人と、その連絡の方法。
- 夜間や休日の電話・出動(オンコール)の有無と回数。
- 入職後に、先輩と一緒に訪問する期間や研修があるか。
- 少ない人数の職場での、人の入れ替わりと役割の分け方。
- 訪問の件数で変わる給与の部分。
- 車・自転車などの移動の手段と、回る地域の広さ。
訪問看護ステーションを開くには、看護職員(保健師・看護師・准看護師)が常勤換算で2.5人以上必要です。そのうち1人は常勤であることが、基準で決められています。人数の少ない事業所もあるため、「何人の職場で、自分がどの役割に入るのか」は、転職の前に確かめたい条件です。指定居宅サービス等基準 第60条 ↗
どの条件が合わないと失敗に感じるかは人によって違います。上の項目のうち、自分にとって外せない条件に印を付けてから、次の公表情報を見てください。
訪問看護の転職で失敗しないために、公表情報で事業所を見る
介護保険法は、訪問看護などの介護サービスの事業者に、サービスの内容や運営の状況を都道府県へ報告させます。都道府県は、それを公表すると定めています。公表される項目には、職種別の従業者の数、勤務形態、経験年数、研修などの取組が含まれます。介護保険法 第115条の35 ↗同法施行規則 第140条の43・別表第一 ↗
厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」では、全国の事業所の情報を検索して読めます。訪問看護の事業所の「事業所の詳細」には、次の項目がありました。厚生労働省:介護サービス情報の公表制度(介護サービス情報公表システム) ↗
| 失敗しやすい点 | 公表情報で見られる項目 | その値だけでは分からないこと |
|---|---|---|
| 一人で判断する不安 | 職種別・常勤と非常勤別の従業者の数、業務に従事した経験年数別の人数 | 同じ日に相談できる人がいるか、連絡の方法 |
| 教育・同行の不足 | 従業者の研修などの実施状況 | 入職後の同行訪問の期間と、研修の中身 |
| 人の入れ替わり | 前年度の採用者数・退職者数 | 退職の理由と、今年度の変化 |
| 忙しさ | 看護職員1人当たりの1か月のサービス提供時間数、利用者の数 | 1日の訪問件数と、移動・記録の時間 |
| 夜間・休日の対応 | 24時間の電話相談、急な病状の変化への対応状況、緊急時訪問看護の実施 | 当番の回数、待機の決まり、手当 |
| 担う処置の幅 | 特別な医療処置等を必要とする利用者の受け入れ状況、特別管理加算の状況 | 経験のない処置を練習する方法 |
| 移動の負担 | 通常時にサービスを提供する地域、営業時間 | 移動の手段、直行・直帰ができるか |
公表の内容は事業所の報告に基づき、記入日の時点のものです。前年度の採用・退職の数は、その後に変わっていることがあります。数字の大きさだけで事業所の良し悪しを決めず、面接で理由を聞くための材料にしてください。
訪問看護の転職で失敗しないための確認票
| 確認する項目 | 公表情報から写すこと | 面接で聞くこと |
|---|---|---|
| 記入日 | 公表日と記入日 | その後に人数や体制が変わったか |
| 人数 | 看護職員の人数、常勤・非常勤の内訳 | 自分が入る枠と、1日に一緒に働く人数 |
| 経験年数 | 訪問看護の経験年数別の人数 | 困ったときに相談する人と方法 |
| 採用と退職 | 前年度の採用者数・退職者数 | 退職の理由として話せる範囲、今年度の変化 |
| 研修 | 研修などの実施状況 | 同行訪問の期間、一人で訪問を始める時期 |
| 忙しさ | 看護職員1人当たりの月のサービス提供時間数 | 1日の訪問件数、記録の時間と場所 |
| 夜間・休日 | 24時間の電話相談、緊急時訪問看護の実施 | 当番の回数、待機中の決まり、手当 |
| 処置 | 受け入れている医療処置の種類 | 経験のない処置の練習の方法 |
| 地域と移動 | サービスを提供する地域 | 移動の手段、車の貸与、直行・直帰 |
照合票・質問例は編集部が作成したものです。職場の実態を示す統計や、条件がかなうことの保証ではありません。未確認の欄をゼロや「なし」で埋めず、回答者・確認日・書面名を残してください。
夜間・休日の当番を記録する方法はオンコールの記事、訪問の件数で変わる給与の見方は訪問看護の給料の記事にあります。
自分の条件を書き込むときに
この照合票を保存する(表計算用TSV) ↓表計算ソフトで開き、確認結果・未確認の点・回答者と確認日を記入できます。空欄は未確認のまま残してください。患者情報は記入しないでください。
訪問看護の転職で失敗を減らす、公表情報の見方と限界
- 介護サービス情報公表システムで都道府県を選び、応募先の事業所名で探します。
- 事業所のページの「事業所の詳細」を開き、上に表示される公表日と記入日を先に確かめます。記入日が何年も前のままのページもありました。
- 上の票に、値と記入日を写します。
- 運営状況などのほかの見出しも読み、気になった点を面接で聞く欄に書き足します。
厚生労働省:介護サービス情報の公表制度(介護サービス情報公表システム) ↗
ただし、すべての事業所が載っているわけではありません。施行規則では、前の1年間に受け取った介護サービスの対価が100万円以下の事業所などは、報告の対象から外れます。載っていないことだけで判断せず、その場合は面接で同じ項目を聞いてください。同法施行規則 第140条の44 ↗
この記事は、個別の事業所の値を載せたり、事業所を順位づけたりするものではありません。
訪問看護の転職で失敗しないよう、最後は書面の条件で確かめる
採用が決まるときには、就業の場所や業務、その変更の範囲、契約期間と更新の条件などが書面で示されます。面接で聞いたオンコールの回数や手当、移動の手段が、書面のどこに書かれているかを照らし合わせてください。厚生労働省:労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第39号) ↗
書面にない約束は、あとで確かめにくくなります。面接の答えと書面が違うときは、入職の前に確認しましょう。
すでに転職して「失敗した」と感じている場合は、困っている事実と変えてほしい条件を分けて整理できます。訪問看護を辞めたいときの記事を参考にしてください。
出典とファクトチェック
- 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「介護保険法」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- EGOV-KAIGO-LAW
- 表・項目
- 第115条の35(介護サービス情報の報告及び公表)、第9条(被保険者)
- 対象
- 法令の適用対象(介護サービス事業者・都道府県)
- 対象時点・期間
- 2026-09-27 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
- 公表日
- 1997-12-17
- 取得日
- 2026-09-27
- 確認版
- 平成9年法律第123号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
- 読み方・制約
- 条文の読み方を示すもので、個別の事業所の良し悪しを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
- 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「介護保険法施行規則」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- EGOV-KAIGO-RULE
- 表・項目
- 第140条の43(公表の対象のサービスに訪問看護)、第140条の44(報告するとき・対価100万円以下の事業所等を除く)、別表第一 三(従業者に関する事項)
- 対象
- 法令の適用対象(介護サービス事業者・都道府県)
- 対象時点・期間
- 2026-09-27 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
- 公表日
- 1999-03-31
- 取得日
- 2026-09-27
- 確認版
- 平成11年厚生省令第36号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
- 読み方・制約
- 条文の読み方を示すもので、個別の事業所の良し悪しを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
- 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- EGOV-KAIGO-KIJUN
- 表・項目
- 第60条(訪問看護の看護師等の員数)
- 対象
- 法令の適用対象(介護サービス事業者・都道府県)
- 対象時点・期間
- 2026-09-27 時点の現行条文(e-Gov 法令API で取得)
- 公表日
- 1999-03-31
- 取得日
- 2026-09-27
- 確認版
- 平成11年厚生省令第37号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
- 読み方・制約
- 条文の読み方を示すもので、個別の事業所の良し悪しを判定しない。公布日は制定時で、条文は取得時点の現行版。
- 厚生労働省「介護サービス情報の公表制度(介護サービス情報公表システム)」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- MHLW-KAIGO-KOUHYOU
- 表・項目
- 制度の説明ページと、システムの訪問看護事業所の「事業所の詳細」の項目
- 対象
- 介護サービス情報の報告の対象となる事業所
- 対象時点・期間
- 2026-09-27に表示されていた説明と項目
- 公表日
- 公式に記載なし(取得日とは別)
- 取得日
- 2026-09-27
- 確認版
- 取得時点の表示(説明ページに版日付の記載なし)
- 読み方・制約
- 公表内容は事業所の報告に基づき、記入日の時点のもの。記事では個別の事業所の値を載せず、編集部による件数の集計もしない。項目の並びは事業所の種類(ステーション・病院等)で異なる。
- 厚生労働省「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第39号)」 ↗
資料の対象・日付を確認
- 台帳ID
- MHLW-ORD39-2023
- 表・項目
- 第5条第1項第1号の2・第1号の3 新旧対照、附則
- 対象
- 労働契約締結・有期契約更新等における労働条件明示
- 対象時点・期間
- 2024-04-01施行
- 公表日
- 2023-03-30
- 取得日
- 2026-09-27
- 確認版
- 2023-03-30公布の改正省令
- 読み方・制約
- 公布日と施行日を区別。有期契約だけの明示事項を無期契約一般に広げない。個別法的判断を代行しない。
変更記録:2026-09-27 初稿作成(第2回)。法令は e-Gov の条文、公表の項目は介護サービス情報公表システムの事業所の詳細ページで確認。確認票は編集部作成。2026-09-29、題名と冒頭(答え・この記事で分かること)を整理し、本文を読みやすくした(長い段落と文を分け、数字の一部を表に、確認票を記事の中ほどへ)。数字・出典の変更なし。
